こんにちは、スマートバンクのtakejuneです。
皆さん、ChatGPTは使っていますか? 僕ももちろん毎日使っていて、その優秀さに驚かされています。(おちゃめなミスも多いけど🙃)
今回のカンファレンステーマのひとつ”ウェルビーイング”について発表することになり、ChatGPTに聞いてみました。
正直言って、ウェルビーイングについてあんまりよく知らなかったんですよね。
その返事はというと…
木!?とびっくりしましたが、興味深かったので詳細を尋ねてみました。
この例えをどう思います?
私は正直、今まで聞いた「ウェルビーイング」の説明の中で一番わかりやすいかもと思いました。なので今日はこの例えを使って、私たちがプロダクトデザインから学んだことについて話したいと思います。
私たちのプロダクトは「B/43」といいます。そうですね、変わった名前ですね 笑
B/43という名前は「B=Balance(残高)」と「43=Budget(予算)」を合わせて家計管理における残高と予算のバランスを表しています。
私たちは3つのプロダクトラインナップを提供していて、それぞれが個人・カップル・子どもの個別の課題解決にチャレンジしています。今日は私たちがそれらを作っている中で学んだ2つのストーリーをお話したいと思います。
まずは、個人向けのプロダクト「マイカード」にまつわる話です。これは、私たちがユーザーの根っこ(生活基盤)を理解するのに失敗したストーリーです。
このプロダクトを作った背景には日本のキャッシュレス決済環境があります。2022年のデータによると、日本のキャッシュレス決済のシェアは36%で、その多くがクレジットカード利用者です。一方でグローバルで見ると、クレジットカード利用者とデビットカード利用者の数はほぼ同じなんですよね。にも関わらず、日本ではデビットカードはあまり人気がないようです。
私たちの実施したユーザーインタビューでも、クレジットカード利用者はキャッシュレス決済利用者の中で一番多かったのですが…彼らは毎月の支出を把握することに苦労していました。
なんでかというと、クレカが後払いだからです。「あといくら使えるのか?」がパッと把握できなくて、一部の人は使いすぎて、分割払いを利用して、残り予算を確認するためにアプリを頻繁に切り替えて確認していました。
このクレジットカードの複雑さが、多くの家庭で貯蓄できていない主な原因なんじゃないかと思いました。
そこで私たちは
- リアルタイムに家計管理できるプリペイドカードを提供することで
- クレジットカードなしでキャッシュレスな家計管理が実現できる
という仮説を検証することにしました
マイカードは、クレジットカードを使用せずにキャッシュレスの家計管理を可能にするプロダクトです。ユーザーはコンビニやATMでクレカを使わずにチャージできます。クレジットカードのように支払いにつかえて、支出はリアルタイムで引き落としされ、通知されます。また自動で家計簿アプリののように分類されます。
このサービスのローンチ後、私たちはそこそこのユーザーを獲得できました。私たちの仮説が証明されたので嬉しかったですね。ですが…すぐにユーザーからある同じ要望をたくさんもらうようになりました。
それは「クレジットカードをチャージ方法として追加して欲しい!」というものでした。
正直、なんでだよって思いましたよね 笑
一体何が起こったんでしょうか?状況を理解するために、木の比喩を使ってみましょう。この場合、彼らの支出管理能力が「幹」でした。私たちは、クレジットカードに頼らずにそれを高めたかったんです。
でも残念ながら、一部のユーザーは2つの理由で入金にクレジットカードを使いたいと考えていました。1つは、いつでもどこでもオンラインで入金したいという理由。もう一つは、クレジットカードでポイントを貯めたいからです。それは彼らの「根」であり生活基盤の一部でした。
ここから私たちが学んだのは「根がなければ、幹は育たない」ということです。
言い換えると「ユーザーの能力を伸ばすために、彼らの生活基盤を尊重しよう」ということです。なぜなら、もし私たちのプロダクトがライフスタイルにフィットしなかったら、使い続けてもらえないからです。
その後、入金方法としてクレジットカードを追加しました。ユーザーは毎月決まった金額を入金できるのでクレジットカードを使いながら支出をコントロールできるようになりました。また自動入金機能によって、給料日や月初に入金するサイクルが生まれ、継続的に利用してもらえています。
まさに根っこにフォーカスすることで、太い幹が育てられたというわけです。
2つ目のお話はカップル向けの「ペアカード」について。または私たちがいかにユーザーに果実、つまり成果を届けることができたのかという話です。(成果と青果をかけています😜)
伝統的に日本では、夫が働き、妻が家計を管理していました。しかし、共働きの世帯が増えるにつれて、共に家計を管理するカップルが増えています。
しかしながら、キャッシュレス決済サービスはカップル向けにはデザインされていません。だから多くのカップルはいまだに物理的な共有財布を使っています。さらに、日本では共有銀行口座が利用できないため、食料品や家賃などの共同の支出を管理し、それぞれの分担額を計算することは難しく手間が掛かるのが現状です。
私たちの仮説は、ふたりで使えるプリペイドカードを提供すれば、ユーザーはパートナーとの支出管理を改善できるだろうというシンプルなものでした。
そこで私たちはB/43ペアカードを作りました。それぞれが共有口座にリンクしたカードを手に入れ、リアルタイムで自身の支出を確認できます。共通の残高から引き落とされるので割り勘も必要ありません。
このプロダクトをリリースしてみると…ユーザーから大好評でした!
でもさらに驚いたのは、これはパートナー間のコミュニケーションも改善したということです。
我々の調査では、日々の収入と支出を共有することが、関係に強いポジティブな影響をもたらすことがわかりました。多くのカップルは、家計についての話し合いにストレスを感じます。しかし、B/43ペアカードを使えば、彼らは共有の残高や支出に基づいた会話を通して、ストレスを軽減できるんですね。
それではまたウェルビーイングの木に戻ってみましょう!このケースでは、枝は「共同の家計管理」という行動で、果実は「家計の改善」という成果でした。
しかし、我々は別の果実が成長していることに気づいてなかったんです。それはカップル間の「コミュニケーションと関係性の改善」のことでした。
私たちがこの経験から学んだことは、愛される商品を作るためには「枝に複数の果実を見つけるべき」だということです。
つまり、ユーザーに対して「短期的な課題解決を提案するだけでなく、長期的なゴールに導くべき」と考えています。長期的なゴールにはコミュニケーションの改善のような、より感情的なゴールも含まれています。
そこで私たちは、パートナー間での良好なコミュニケーションと長期的な関係の目標を育てることを目指して、カップル間の家計をもっと透明にするための予算チェックシートを提供しています。
次に、私たちのデザイン手法を紹介したいと思います。
先程の2つのエピソードから我々が学んだことは、「ユーザーの生活基盤」と「長期的な成果」をデザインプロセス全体で心に留めておくことべきだということです。
それを考慮するために、私たちのプロダクトデザインプロセスには 「課題定義」 と「価値定義」 の二つのキーとなる手法が含まれています。
最初の「課題定義」 は、以下のステップで進めていきます。
一つ目に、ユーザーの課題をまとめた仮説を書きます。ここではペアカードのデザインプロセスを例に取りましょう。
ユーザーが誰であるか。
いつ課題に直面するのか。
彼/彼女らが何をしたいのか。
それを阻んでいるものは何か。
彼/彼女らは現在どのようにこの問題を解決しているのか。
そしてどのような問題が発生しているのか。
二つ目に、情報を収集し、仮説を検証するためにユーザーインタビューを行います。既知と未知の情報を「Discovery Board」データベースに記録します。
確認済みの項目の数が増えるにつれて、定期的に価値仮説を見直します。このステップの目標は、初期の仮説をくつがえし、ユーザーの基盤についてより深い理解を得ることです。
もう一つの手法は、「価値定義」で、これはユーザーの成果を実現するための第二のステップです。
まず、"課題仮説"とインタビューの洞察に基づいて、新たに"価値仮説"を書きましょう。
これは課題仮説に似ていますが、このステップは私たちの解決策を特定し、それがユーザーの行動をどのように変えるかに焦点を当てています。
次に、ユーザーの長期的な目標を考えていきましょう。より感情的な価値も含めて考えることがポイントです。
このプロセスは、私たちがユーザーの真のゴールを理解することに役立ちます。
これらの手法をサポートするために、私たちは「Think N1 Sheet」というツールを開発しました。2つを連続したプロセスとして実行するためのもので、Notionのテンプレートとして提供されています。興味がある方はぜひ試してみてください。
それでは最後に、今日の学びを振り返っていきましょう。
ざっくり言うと、私はウェルビーイングを説明するために木の比喩を使って、プロダクトをデザインの中での学びを共有しました。
私たちの経験は、ユーザーの生活基盤の課題と、長期的なゴールにフォーカスすることを教えてくれました。これが「ウェルビーイング」ってやつをデザインする最良の方法じゃないかな?と思うんですよね。
ウェルビーイングって一回創って終わりのものではなくって、ユーザーの人生に寄り添って回り続けるサイクルだと思うんです。
だから「果実が地面に落ちて再び新しい根を生むように」このサイクルを何度もデザインしていきましょう!
以上です!ご清聴ありがとうございました!
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