2022年5月28日に行われたResearch Conferenceの発起人の一人でもある、メルカリ社のUXリサーチャー草野さん(@koki_k)をお招きして、運営側・登壇側それぞれからのイベントの振り返りや、UXリサーチャー職・コミュニティの未来についてお話しました。
このインタビューに出てくる人
takejune このブログの書き手。6月生まれのサービスデザイナー。「家計簿プリカ B/43」を運営するスマートバンク社の創業者のひとり。PodCast初心者。 Twitter / Blog / Portfolio
koki 電気通信大学大学院修士課程修了後(工学修士)、通信事業会社の研究所にてデザイン方法論の研究および研究知見を活用したコンサルティングに従事する傍ら、社会人博士として慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科にて博士後期課程修了 博士(SDM学)。現在はメルペイのUXリサーチャー第一号としてUXリサーチを活用したサービスデザインの実践と研究に従事。慶應大学大学院SDM研究科特任講師、情報処理学会HCI研究会幹事。
haroka 「家計簿プリカ B/43」を運営するスマートバンク社のUXリサーチャー。/ 二児のママ/清澄白河/プリン、パン屋めぐり、サウナ好き
オープニング
takejune こんにちは、takejuneです。この番組はデジタルプロダクトの作り手をゲストにお招きしてふむふむと知識を増やしていくポッドキャスト番組です。今回のゲストはメルカリ社のUXリサーチャーで先日行われたResearch Conferenceの発起人の 1人でもある草野さんです。よろしくお願いします。このタイミングで収録をお願いしたっていうのもですね。5月28日に行われたリサーチカンファレンスのお話が熱いうちにできたらなというところもあるんですけど、本当にお疲れ様でした。
koki こちらこそありがとうございました。もうおかげさまで全体で 2500人ぐらい登録いただいて、たくさんの方に見ていただいたと思っております。
takejune いやほんとすごいですね。2,500人。しかも初回で2,500人って考えられない。あんまり聞いたことないレベルですけどね。
koki そうですね。しかもリサーチにかなり絞ったので、かなりニッチなものに分類されるかなと思うんですね。UXデザインなどに比べると。
takejune はいはい。
koki それでも2,500人ぐらい見に来てくださったっていうのは非常にありがたい
takejune そうですよね。知らない方に説明するとリサーチカンファレスっていうのは、リサーチをテーマにした日本発のカンファレンスで。5月28日に開催されたんですけれども、スピーカーには東京都の宮坂副知事だったりとか、トヨタグループの方とか、まあ我々のようなスタートアップも含めて幅広いラインナップのスピーカーが特徴的なカンファレンスだったんですけれども。まあ我々のプレゼンについては書き起こしを公開してるので、そちらで見ていただくとして。いや本当にすごい盛り上がりの会だったんですけど…じゃあ早速本題に入っちゃうみたいな感じなんですけど。
開催のきっかけ、運営側の感想
takejune 開催の経緯を断片的にお聞きしたりはしてるんですけど、改めてどういうきっかけで開催に至ったんですか?
koki 元々は、私とか松園さんとか木浦さん(アンカーデザインの)がリサーチのコミュニティをちゃんと強くしたいねみたいな話はもともとしていて、そういった中でとあるイベントで一緒にちょっと企画やろうよって言って、オンラインのイベント 1 回やったんですね。その時に900人ぐらい登録者が集まって、その時の同時視聴で 400人ぐらい来てくれてたんですけど、そういう反応見た時に、これは単発のイベントというよりはちゃんとカンファレンスにしていこう。もうちょっと多くの人にリーチして、リサーチの面白さとか難しさも含めて役に立つ情報をお伝えていけるようなことができるといいね。っていうのをSlack上でやり取りしていて、本当にじゃあやるかって言って企画を立ち上げたっていうのが経緯ですね。
takejune なるほど。まあ今のお話の中でも狙いみたいな部分あったりしたかなと思うんですけど、改めて意図していたところが狙い通りだったのか?みたいなとこ含めてこう運営サイドの感想はどんな感じですか?
koki まず 1 つ良かったのは、登壇の募集をしたんですよ。そしたら40件ぐらい登壇したいという人が集まりまして。まず驚いたのは、それだけ事例を発表した人たちはいるんだなっていう。っていうのがまず 1 つすごく良かったことだし。もう 1 つは実際に見に来てくれた人も結構いろんな立場から見に来てくれて、単純にリサーチャーだけのイベントではなくて、リサーチに関わる多くの人たちが集まってくるようなイベントにできたなあっていうところはすごく良かったところですね。
takejune 確かに運営サイドのSlackを見ていても参加者の職種がバラエティに飛んでるというか、偏りがない感じで、いろんな方が参加してらっしゃるなっていう風に思ったりもしたんですけど。その辺りが沢山の方に参加していただけた理由だったりとかもあるんですかね。
koki そうですね。今回メインテーマは「スタート」なんですけれども、裏のテーマに「多様性」みたいなものを考えてたんですよね。なので、登壇してくれる人も多様だしで、その上でこうスタッフとして関わってくれる人も多様だし。そういうところがあって、結果的に参加者も多様になってたみたいなところもあるかなと思ってて、なんである意味、裏テーマも達成できたのかなって思っていてすごく嬉しいですね。
takejune 確かにそうですね。それは職種って意味でもそうですし、会社の規模感だったりとか業態みたいなところでもそれはあったのかなっていうのは、いち参加者側の目線でもすごく感じたところではあったんですけど。
参加者・登壇者目線での感想
takejune 改めて、弊社のUXリサーチャーのharokaさん。一緒にイベントの方にも登壇してお話頂きましたけれども改めて、こう参加者側からの感想みたいなところはいかがですか?
haroka やー、1 つ大きいムーブメントの第一歩を踏み出せたんだなっていう想いでいっぱいです。それこそ「リサーチャー」っていう名前自体もどういった職種なの方なのか?とか説明する時に「お客様とお話ししたり…」とか説明すると「CSっぽいような感じですかね?」とか、そういうお話いただくような場面が多かったので、そこがカンファレンスっていう大きい規模で、かつそれに対して興味を持って下さってる方が2500名超えていらっしゃってみたいなところは、参加する体験としてもすごく記憶に残りましたし、そういったムーブメントがあること自体もすごく嬉しいですね。
takejune 確かに、これまでやっぱり「UXリサーチャー」っていう職種自体が定義されていなかったり、Job Descriptionとして存在しないところから徐々にそういったものができていって。多分初ぐらいなんですかね。こういったその大きなカンファレンスという形でイベントが行われるっていうのは。なので、職種自体の立ち上がりみたいなところを今経験してるような感じはありますよね。参加者でもあり登壇者でもあるharokaさんですけど、登壇してみていかがでしたか?
haroka そうですね、一番初めにそのメルカリの本社で収録するところで「初めて入った」っていう感動がありました(笑)
そして、各社様まさにこれまで取り組まれてきたことを「事業とリサーチ」みたいな文脈だったり。ご自身が初めてリサーチに取り組まれての気づき、実践を進めてどういう風に運営していこうかみたいなところを、色んなタイプのリサーチャーの方がいろんな関わり方をされているのを目の当たりにできたっていうのがすごく良かったなあっていうのと。
皆様の発表ですが、見守ってくださる方の動きが見えたみたいなところの、全体体験みたいなところが非常によかったなと言うか、参加させていただいてもよかったですし、聞き手としてもまあすごく魅力的な会になってたんじゃないかなと思ってますね。
takejune 我々は当日中に発表内容書き起こし公開させていただいたんですけど、思った以上にフィードバックがたくさん集まってきていて、想定以上に反響があったなっていう感じがしましたね。
koki いい話…(笑)
haroka すごく興味持っていただいるんだなっていうのは感じていて、それはTwitterでシェアいただく内容とかもそうなんですけど、Meetyの方に是非お話聞かせてください って感じで我々の採用っていうだけではなくて、同業者でそんなに話したことがなかったような方々に「リサーチャーがいる環境での開発ってどんな感じなんですか?」みたいなご連絡もいただけていたりとかしていて、そういったフィードバックというか、反応もあって面白かったなと。
「多様性」を感じた発表内容
koki 本当にこう、やっぱり多様性って話をさっきしたんですけど、それぞれのキャラクターが出て欲しかったんですよね。なので「こういうリサーチが正解だ」みたいなことよりは「僕らはこうやってて、こういうの難しいと思っているけど、こう乗り越えてんだよね」みたいな話の方が絶対いいなと思ってたんで。そういう意味でならではの個性のあるプレゼンテーションしてくださったのが、すごく良かったですね。
takejune ありがとうございます。登壇する前にどういう話をしようか?っていうのは結構harokaさんとも話していたりしたんですけど、「求められてる事って多分あるんだろうなあ」だったりとか、ステージが進んでいないスタートアップ専任のリサーチャーを置いてやっている中での学びとか気づきみたいなところが、やっぱり一番話すべきことなんだろうな、みたいな話をしていたので、的は絞りやすかったですね。
koki 他の登壇者の方々だと、やっぱり行政だったり大きい企業さんとか、ある程度もうグロースができている会社さんの中でというところおあったので、まさに聞きたいところが聞けたみたいな。さすがリサーチをしている会社、みたいな(笑) 話す内容もしっかりリサーチして出してきた〜、みたいになりましたね。
haroka ふふふ
takejune 外すの怖いんで(笑)
haroka 運営の方が書いてくださってるnoteでしたり、その辺りも全部一応目を通しています。ご期待に沿えるようなお話をちゃんと盛り込んだりですとか、皆さんがやっぱり知りたいと思っているところが余すところなく入ってるといいな、みたいなところがあったので。
takejune harokaさんが1人目のリサーチャーとしての立ち振る舞いみたいな話をしていただくことは決まっていたので、僕の方では事業立ち上げまでの起業家ならではのリサーチの仕方みたいなところをさせてもらったんですけど、今回発表の枠を50分いただいたんですね。50分も話すことあるかなって思ったんですけど作ってみたら70 分ぐらいできちゃって…
koki めっちゃあるじゃないですか(笑)
takejune 削ったところもたくさんあったなっていう感じだったりとか。こういう発表するときにすごく…初手で迷いがあるなっていう思うのは。「再現性のある内容を話すべきなのか?」という。ある程度、何度もやって証明されていたりとか、思い込みでない。他の人がやっても通じるものの話をすべきなのか?それとも草野さんが言うように「うちはこうだったよ」っていう話をするのかは迷ったんですけど、どうしても再現性が証明されてる内容って、通り一遍の話にしかならないっていう難しさもあるなと思ったので。「あなたたちの場合はそうだったかもしれないけど…」「それは思い込みでしょう…」「生存者バイアスでしょ…」みたいな声もあるかなとは思ったんですけど、「自分たちはこう思ってるよ。こう信じてるよ」っていう話をしようって感じでしたね。
koki うん。個人的に思うのは、1人のプレゼンターから再現性だったりとか確証みたいのを得る必要はないかなと思います。あれだけ多様な人たちが多様なこうやり方でリサーチを何かしらの中で活かしているので、「それによってこうなりました」「こういう結果が得られている」というのが相対として伝わればいいかなという感覚があって。例えばtakejuneさんとかharokaさんのやつは響かないけど、例えばむしろ知事の話がしっくり来る人もいるという。ロールモデルじゃないけれども、全体が見えた中での自分がしっくりくる取り組みってのを見つけてくれると、スタート切りやすいんじゃないかなと。そういう感覚が参加した人の中に生まれてたら嬉しいなあ。
takejune でも、確かにインタビューしてる中でも、全員の話してることを全部真に受けるわけではなくて、自分たちの仮説に合致する話だったりとか、複数人聞いている中で共通する部分を参考にしながらレポートを組み立てたり、学びを得ていったりするので、それと結構近いかもしれないですね。
koki そうですね。かなり近いと思う。だから1人1人の素敵なストーリーとナラティブを楽しむと同時に、そこから共通点だったりとか、気づきを得ていくっていうのは、まさに質的な調査に近いような話ですよね。それがカンファレンスという方式で出力されているみたいな。
takejune それ面白いですね。こうなんていうか、リサーチ的な観点がカンファレンスの設計に反映されていて(笑)
運営の苦労と裏話
takejune なんか裏話じゃないですけど、やっぱり大変だった部分とか、苦労したなあみたいな話はありますか?
koki いくつかあると思うんですけど、1 つはやっぱり今回有志の集まりでやっていたので、大きく報酬が発生させられるわけでもないみたいなところで、いかに皆さんのやりたいことがこの場で実現できるのか、みたいなところは結構メンバーの中でも議論になりました。そういう中でどうしても負荷が集中しちゃったりとか、すごい苦労をかけている方々もいっぱいいらっしゃって。そこが運営として難しかったっていうのは 1 つあったかなと思ってて。
それでも皆さんモチベーション持ってやりきってくださったのですごいなと思って。本当にこれだけリサーチという1 つの手段をですね、うまく伝えていきたいと言うか、そのための場をちゃんと作って成り立たせたりする思いがある、やりきってくれる人たちが来てくれたなっていうのがありました。
もう 1 個あげると、不確実性の高さですね。初回だから例えばスポンサーさんてどれぐらい集まってくれるんだろうね?とか、相談したいって人ってどれくらい来てくれるんだろう?とかゲストスピーカーで招待した方がどれくらいの情熱を持って当日望んでくれるのかとか、わかんないんですし。
Miroに何人来るんだみたいな話もありましたね。今回オンライン会場で最大で、同時接続で230を超えるぐらい集まったんですね。ミロの運営の方にも事前に「何人ぐらいまで同時で行けるんですかね」「200 超えると危ないですね 」みたいな話をしたんだけど、当日「これ 200 超えたんだけど、どうしようね。」みたいな(笑)
takejune 見たことない数のカーソル動いてましたね。それも含めて、フタを開けてみた時の熱気みたいなものが、参加者・スピーカーともに思った以上にって感じだったんじゃないですか?
koki そうですね。ここまでやってくださるのが嬉しい誤算だったっていうと、スポンサーの皆さんも登壇する機会を今回ご用意させていただいたんですけど、なぜかスポンサーというよりは普通に当事者としてお話してくださる方が本当に多くて。最悪の想定では本当に、宣伝を挟んで「はい、終わり!」みたいのもあるかなと思っていたんですけど、それを良い意味で裏切って、素晴らしい発表をしてくださって。まあその分みんなお昼食べる時間なかったんですけど(笑)
haroka お弁当あまってましたね(笑)
takejune noteさんの発表とかほんと良かったですねー。
ズバリ、来年の開催はあるのか?
takejune すごく手応えを感じてらっしゃるんじゃないかなって思ってるんですけど、2023年の開催っていうのはあるんでしょうか?
koki
一応メンバーでは来年どうしようかの議論をしないっていうのはないかなと思ってて。やるかやらないかみたいなことはちゃんとディスカッションして、やる方向に持っていけるかどうか、今議論してるところですね。
今回やって、反省してる点もいっぱいあるので、そういうのをどうやって解消していくかみたいなテーマもありますし。まさにスタートなんで。今回のこれをきっかけにどういう風に続けていけるかなとか、広げていけるかとか、場合によってこう分化させていくかとか。そういうのはぜひ、ディスカッションしていきたいなと思っています。
takejune もしかしたら、来年はもう少しリアルでもやりやすくなってるかもしれないし、とかっていうのもありますもんね。ワークショップっぽいことやりたいよね。みたいな話が出ていたりとか、いろんなアイディアは多分出ていたりとかしたので、サブイベントみたいな開催しても面白いですね。
koki
我々も目的は別に大きいカンファレンスをやって、そこに集客とかがゴールではなくて、どちらかと言うとそれを通じてコミュニティがより育まれたりとか。より多くの人がスタートして続けられるかとか。それを達成させるためには他のやり方、まあワークショップなのかもしれないし、っていうのはこうあまり絞らずに考えたいですし。 あとは、こういったコミュニティ活動でやっぱり大事かなと思うのは、いわゆるコアに閉じないということで、コアメンバー以外でも やりたいと思ったら、そのプラットホームを使っていろんなことができるようにしていく、みたいなのが大事だと思うんで。リサーチカンファレンスみたいなプラットフォームを使って、他のメンバーがワークショップチャレンジとかプレイベントをするとか、そういうのもできてもいいのかな?みたいなことは思ったりします。
業界におけるUXリサーチャー職の立ち上がり
takejune
草野さんとは、2人で少し話したりもしましたけれども、やっぱりUXリサーチャーっていう職種だったりとか、コミュニティていうのが立ち上がっていくフェイズを今生きていて、僕はおそらくこのカンファレンスを2022 年にやったことによって、かなり時計の針が早く進んだんじゃないかなっていう風に思ってるんです。
というのは僕も15 年ぐらいこの業界で仕事をしていきました。僕自身キャリアのスタートのときには「UIデザイナー」っていう言葉すら一般的でなかったんですよね。インターネットの事業会社が、新卒でデザイナー取っていない時代だったんで、僕は総合職としてこの業界に入ったんですけど、それからUIデザイナーとか、UXデザイナーとか、サービスデザインなんとかっていろんな言葉がでてきたり。ウェブディレクターがプロダクトマネージャーになったりとか、グロースハッカーなんて聞かなくなっちゃった職種もあったり、色々と認知が広がっていったり、職種の定義ができていって、カンファレンスが開催されたりとか。
koki 確かに時計の針が… 正直言うと、もう少し進まないというか、実際はもうちょっとこじんまりしたカンファレンスになるかなと思ってたんですよね。けど、結果的にはかなりの人が興味を持ってくれたっていうのがあって。なんかそれって時計の針を進めたって言い方もあるかもしれないですけど、逆に言うと世の中がもう実は進んでいて、潜在的にあるものがここでこう 1 つ顕在化してきたみたいな捉え方もあるのかなと思って。やっぱりこういう業界の進展の速さみたいなものが、日本の市場でも少し加速している可能性があるっていうのは、そういう見方もできるかなって思ったりしますね。
takejune それがリサーチカンファレンスの中で提供されても、外で提供されてもいいのかもしれないんですけど、草野さんの中で今より業界だったりとか、職種的な観点で発展していったり、整えていくみたいな観点でまだ不足してるなみたいな、こういった部分があるとより良いなみたいに思ってることはありますか?
koki そうですね。まず、もっと事例が公開されていくといいなと思っていて。ちょっと失敗した事例でもいいから増えると良いなと。
takejune 失敗した事例の方が聞きたいみたいなこともあるかもしれないですね。
koki
そうそう「こうやるとうまくいかなかったんだよね。」みたいな。相対としてみると、通算でいうとプラスになるからやるけどさみたいな。そういう感じがあってもいいかなっていう。そのあとどう学んでいくかとか。どう実践するかみたいなところはあるかなと思っていて。
もちろん実践の中で学んでくっていうのも大事なんだけども、ある程度まとめて学べるみたいな場を作ってみたいとか。教育事業のようなことも、もしかしたらあるかもなと思ってて、やっぱこの業界ってナレッジっていうか知見がめちゃくちゃあるんですよね。それをうまく今の時代に扱いやすいように汲み上げて提供していくっていうのは、確かに価値があると思うんですね。
あとは、もう 1 歩踏み込むとロールモデルとして例えばバイスプレジデントとか。エグゼクティブクラスにリサーチオフィサーみたいな人が出てくるとか。Direct of UXみたいなので、リサーチ職の人がポジション作るとか。そういう動きがロールモデルとして出てくると面白いかなあとは思います。その 3 つぐらいかな。不足してるというより、あるとより良いだろうなあっていう感覚として感じています。
takejune
世の中のリサーチの方々は、Kokiさんとみほぞのさんのメルカリ社内での活躍への期待しているってのはあるのかなって思いますけどね(笑)
初学者にむけての思い
takejune
そのあたりharokaさんどうですか?
haroka 運営の皆様の中でもmihozonoさんと草野さんがお書きになった。「はじめてのUXリサーチ」あの書籍にサインをもらってるメンバーがいらっしゃって。しかも、皆さんの本が綺麗じゃないんですよね。読み込んであって。付箋もたくさん貼ってあって色々こう読み返したり、何回も見返したりすることによって、ご自身の事業っていうか、まあそのお仕事に活かして来られたんだなーっていうのがよくわかる佇まいの本を何冊も見かけていたので。 今皆さんがそうやって小さく実践してることを、より大きくしていくみたいなところが大事で。リサーチ職がまだ見えてなかった景色がだんだん見えてくるようになってくるのかなーって改めて思いました。
koki サイン求められるのは、めっちゃ恥ずかしいです(笑)
takejune カッコいいサインとかあるんですか?(笑)
koki いやそのままです!
haroka (笑)
koki 私達の本には参考文献をたくさん載せているんですけど、それをきっかけにこれも読んでようと思いましたみたいな、そこを入り口にして深いナレッジの広いリサーチの世界に足を踏み入れて、色々学んでいってる姿が見えたりするのはすごく嬉しいなあっていう感じで。 水先案内人じゃないんですけど、やっぱりいくら膨大にこんなに学べることがあっても入り口がないとなかなか始められないってあると思うので、そういう役になれているんだとするとすごく嬉しいなあって思っているし、もっとこれが広がってくれるといいなっていう思いますね。
エンディング
takejune そろそろお時間いっぱいになってしまったので締めたいなと思うんですけれども、これから先っていうところでカンファレンスって形でもいいですし、個人としてお仕事されてく中で、草野さんが更にやっていきたいなっていう風に思ってる内容だったり、今見えている景色みたいなところをお聞かせていただけないでしょうか。
koki 景色…まあその都度調べて、次の一歩を踏み出していくみたいな。イテレーションのサイクルでリサーチをして。次の一歩でアラインしていくみたいなことは続けていけるといいなと思ってるし。他の人達も、僕らの発信したものをきっかけにじゃあ自分はどうしたらよいかを考えたりとか、それぞれこうリサーチしてデザインしていけるような。なんかそんなコミュニティだったりとか、プロフェッショナル達が増えていくといいな。っていうのは1 つあります。 私自身は、人のモヤモヤを整理することっていうのが趣味なんですけど、なんかその趣味が活かせるように。前に進みたくて、バリューを出したいんだけれど、上手くそれが整理できてない。みたいな人たちの思考を整理して、その人たちがご活躍できるような環境を作ったり、貢献ができたらそれはそれで面白いかなと思ってたりするんで、その辺も僕個人の展望としては持っています。
takejune はい、その辺りのお話も是非またお聞かせいただければと思います。今回のゲストはメルカリ社のUXリサーチャーで、Research Conferenceの発起人の一人でもある草野さんでした。ありがとうございましたー。
koki ありがとうございました。
haroka ありがとうございました〜