ジャンル
UXデザイン
公開日
September 7, 2021
(全46分)
このインタビューに出てくる人
のぶお
モノとお金の流れに関する体験をデザインするプロダクトデザイナー兼プロジェクトオーナー。ソウゾウ←メルペイ🇯🇵←メルカリUK🇬🇧←メルカリUS🇺🇸 / 2年海外とリモートワーク / 仕組み化・構造化大好き / 6歳男子のパパ
オープニング
takejune
今日のゲストはサービスデザイナーののぶおさんです。よろしくお願いします〜。
のぶお
よろしくお願いします。初社外ゲストなんですね。
takejune
そうなんですよ。一緒に会社をやってる2人を呼んで素振りしてたんですけど(笑い)
のぶお
いいですね。
takejune
なんとなくこう、感触がつかめてきたんで、ちょっと(社外のゲストを)呼んでいこうかなっていう感じですね。
のぶお
荷が重い!(笑) 創業者の後に出る社外ゲスト、荷が重いっすね〜。
takejune
いやいやいや、(のぶおさんの話を)聞きたい方もいらっしゃるかなと思ったんで。アレですよね、声かけたきっかけとしてはTwitterで「デザインの話とか最近してないからしたいな」みたいなツイートをされたのを見かけたんで「これはいいぞ」と思って。
のぶお
そうっすね、なかなかね...やっぱり今って社内の人としか喋らなくなっちゃうと思うんで。社外だったりデザインの話にフォーカスして何かするみたいなのって、最近全然やってなかったなと思ったんでちょっと、ぜひ喋りたいなっていう感じで。
takejune
ありがとうございます。このポッドキャストを始めたのも、結構似たような理由も多くて。あんまり人に会わないというか、カジュアル面談とかでお話したりとかっていうのは最近増やしたりしてるんですけど、それだと話す話せない人もいっぱいいるじゃないですか。
のぶお
はい。たしかに。
takejune
コロナ禍の前とかは結構、僕らも勉強会でたまに顔を合わせたりとかみたいなのもあったりしたけど、そういう同業界の長年の仲間たちとあんまり顔をつき合わせて話す機会もなくなってきたんで、これ楽しいかもなと思ってスタートしたみたいなところはありますね。
学生時代〜メルカリに入るまで
takejune
はい。早速なんですけど、改めてのぶおさんのこれまでの経歴をお聞きしていきたいなって思うんですけど。あんまり僕も聞いたことなかったんですけど、社会人になる前ってどういうことされてたんですか?
のぶお
社会人になる前...大学ぐらいからですか?
takejune
そうですね。
のぶお
大学は元々は建築家になりたくって、中学ぐらいの頃からずっと建築やりたいなって思ってて、大学受験も最初は建築しか受けてなかったんですけど。僕浪人して...一浪してるんですけどそんときに、たまたま父親に「プロダクトデザインっていうジャンルもあるよ」って話をされて。
のぶお
そんときにたまたま親父にもらったその「榮久庵憲司」さんっていうキッコーマンの醤油差しとか作られたプロダクトデザイナーの有名な方がいらっしゃるんですけど、その人の本とか読んで結構面白そうだなっていうので、プロダクトデザインもできる学校も受けて、受かったのが京都にある京都工芸繊維大学っていう建築もやってるし、プロダクトデザインとグラフィックデザインも学べるみたいな学校があって。私立じゃないんで、結構ちゃんと勉強して入らなきゃいけない学校だったんですよね。
takejune
なるほど。
のぶお
逆にでも僕はずっと受験勉強してたので、デッサンとか全然やってなかったんで、そういう学校の方がアドバンテージがあった感じなんですよね。別に超絵上手くはなかったんで。
takejune
画塾でずっとデッサンしてるみたいな人もいますもんね。
のぶお
いますね。だからムサビ・タマビとかは全然もう無理だなって思ってたので選択肢に入れてなくて。建築の学科と並行して、デザインの学校も受けて受かったのがそこだったっていうバックグラウンドですね。
takejune
なるほどなるほど。大学のときはどういったことを専攻されたんですか?
のぶお
大学はなんか2,3年生ぐらいのあたりでコースが分かれるんですけど。そこからグラフィックデザインのコースに行きましたね。学校の中では「意匠コース」って意味の意に匠の。
takejune
意匠って(言葉)ありますね。
のぶお
名前が渋い学校だったんで...それでグラフィックデザインやってて、そこまでは大体一通りやりましたね。建築、製図やったり、プロダクトデザインのモック作ったり、家具作ったり...みたいな。一通りやって、写真とかもやったり、グラフィックデザインもやった上でどうする?みたいな感じで決める流れだったんですよ。
takejune
はいはいはい。
のぶお
僕はその中で一番グラフィックデザインが楽しそうだなって思ってそのコースに入った感じでしたね。
takejune
そうなんですね、いろいろできる学科に入って建築も含めて広く見てみて、結果グラフィックデザインが楽しいな、向いてるなっていうような感じだったんですかね。
のぶお
そうっすね。
takejune
そこから最初の仕事を選んでいくところはどんなふうに進んでいったんですか?
のぶお
そこがまだ結構あって...ぼく大学卒業してから留学してて、1年半ぐらいアメリカに行ってたんですけど、そのグラフィックデザインやってたんで、アメリカのタイポグラフィちゃんと学びたいなって思ってアメリカに行ってて
takejune
すごい
のぶお
その時得たものが後々すごく糧になったなっていう気はしてるんですけど、ちょうど戻ってきたのがリーマンショックだったんで、何だろう、仕事ないみたいな感じだったんすよね。グラフィックデザインはより一層仕事なくて「3年とか5年とか経験ないと駄目です」みたいな感じだったので、結構勉強したけど「その道はもう無理だな...」って感じで捨てて。
のぶお
もともと大学の時に、ウェブデザインを自分で勉強してて。大学では全くそういう講義がなかったんで、自分で何ていうんですか...? HTMLとかCSSとか組んで作ったりしてて、ちょっとインターネット老人会みたいになるんでイヤなんですけど...ロケットBBSとかCGIとか、そういう場を自分で書いたりしてやってましたね。なんかすごい楽しい時代だったんですけど。
takejune
懐かしい〜。
のぶお
うん。Flashとかもやってましたね。
takejune
Flashの時代でしたね〜。
のぶお
そうそうそうそう。なんかわかんないけど、とりあえず動かせるから楽しいなっていう具合でしたけど。それはなんか別にその後使ってなかったんですけど、帰国したときにそういうのやってたなと思って、そっち方面の会社を受けて行ったらたまたま拾ってくれた会社があって、それ事業会社だったんですけど、そこに1年ぐらいいました。その後、制作会社に入っていくって感じでしたね。
takejune
そうなんですね。僕が出会ったときはもうサイバーエージェントにいらっしゃったタイミングだったかなと思うんで、その前のキャリアを実は知らなかったんですけど。事業会社→制作会社と来て...って感じだったんですね。
のぶお
そうですそうです。その制作会社の後にサイバー(エージェント)に入って。サイバーの最後の方にtakejuneさんと初めて会うみたいな感じだったかなって思います。
入社当時のメルカリについて
takejune
そうですね、その直後にメルカリに転職されて...っていう形ですね。で、現在も在籍中という。
のぶお
です。はい。
takejune
メルカリ...でももう何年になりました?入ったのが...
のぶお
入ったのが2015年の11月かな。もう今月9月なんで...来月で6年。
takejune
6周年!おめでとうございます!
のぶお
はい、ありがとうございます
takejune
超古株ですか?
のぶお
いや...まあ古株でしょうね。僕より古い人もうほとんどいないんで。
takejune
そうですよね、デザイナーでももうほとんど?
のぶお
デザイナーでいうと僕今一番古いっす
takejune
どうですか?もうやっぱり、今とはもう全く違った感じだったかなと思うんですけど、入った当時ってどういう仕事をしてたりとか、どんな会社の雰囲気だったりしたかみたいなことを覚えてます?
のぶお
いや覚えてますよ、もう鮮明に覚えてますけど。
takejune
聞きたいな
のぶお どういう雰囲気かっていうと何て言うんだろうな、強い人たちばっかりだったんで。エンジニアも含めてロジカルだしめっちゃ意見強いし。プロフェッショナルって感じなのかな。
takejune
ハイハイ
のぶお
なんだろう「攻殻機動隊」みたいな感じの...個の力がみんなめっちゃ強いみたいな。そういう雰囲気で。
takejune
あーこれ伝わってますかね?(笑)
のぶお
伝わるかなー...そういう感じで、よくまとまっているなっていう気もしました。
takejune
はいはい、「よくこれでまとまりがあるな」っていう感じ。
のぶお
だから、それを一つの方向に向かせている小泉さん進太郎さんすげえなっていうのは、今振り返ると思いますね。
takejune
サイバーエージェントもね、結構一体感のある会社かなと思いますけど。それともまたちょっと違った感じだったんですね。
のぶお
サイバーは「できてないところは気付いてる人がやっていこう」みたいな感じなんですけど、僕が入ったときのメルカリは割とそういうところもありつつ、「自分の領域をパーフェクトに仕上げていく」みたいなそういう雰囲気があって。自分のその仕事をパーフェクトにしていく過程で、周りの職種だったりそのチームに侵食していかないとできないっていうことは、もうゴリゴリ入っていってやるみたいな。そういう感じなので、何かちょっと動機が違うような感じだったんですよね。
takejune
そこで与えられた役割みたいなのはどんな感じだったんですか?
のぶお
役割で言うと、ぼくデザイナー3人目だったんで。僕入ったときもう、みんなUS(アメリカ版メルカリ)やる。8割9割はUSにアサインされるって感じで。僕もUSのエンゲージメントっていう、お客様と接点持ったり、プロモーションだったりとか。アメリカってその結構Eメール文化だったので、Eメールでリテンションを図る施策をやったりとか。
takejune
ハイハイ
のぶお
メルカリとかフリマって招待して、インセンティブもらうみたいなそういう施策とかもやっているので。そういうことを加速させるようなプロモーション系のことから入ったんですけど。
のぶお
UIももちろんやってはいたけど、どちらかというとプロモーション系の入っていきやすいとこから入っていった感じで。UIは僕が入ったとき、もう既にメルカリ3年ぐらい経っちゃってたのかな。JP(日本版メルカリ)とか含めて。USは2年目とかだったんですけど、UIのデータが一切なかったんです。
takejune
ハッハッハ、ベンチャーっぽいですね(笑)
のぶお
ベンチャーっぽすぎる(笑)ていうか、どうやってやってたんだろうみたいな感じで。
takejune
今そんなベンチャーないか
のぶお
ないかなー。(データも)なかったんで、スクショをひたすら撮ってSketchに起こすっていう作業が僕のUIにおける最初の仕事で、なので色も当時JPEGでスポイトツールで撮ってたみたいで、なんかいろんなとこでバラバラだったんですよね。
takejune
混沌としてますね。
のぶお
そうそうそう。同じ赤でも何十種類もあるみたいな状態になっちゃってて。エンジニアさんと一緒に膝突き合わせて「ここなに色になってます?」とかって聞いて、何が正解なんだっけっていうのを探す作業から始めたっていうのが2015年だったかなと思います。
takejune
その後、数年間はメルカリに関わってるっていう感じだったんですかね。
のぶお
入社して最初の2年ぐらいですかね。15年16年はUSやってて、17年はUKやっててって感じですね。
takejune
ハイハイ、その間に結構会社のサイズだったりとかチームの人数とかも増えていって?
のぶお
そうですねうん。16年もそうですし、でも増えたなっていうのは17年に一番増えたんじゃないかなって気がしますね。
takejune
上場よりちょっと前のタイミングとかなんですかね
のぶお
そうですね。
takejune
その中で結構変化みたいなのもあったんですか?その混沌とした、最初のカオスな状況から整っていったりとかって感じであったんですかね。
のぶお
どうなんだろう...整ってないですね17年は全然。誰もこんな速さで人が増えていく会社にいたことがないので、組織に必要な状態っていうのがわからないし。大きい組織にいたことがある方はいらっしゃったけど、大きくなった状態で入ってるから。小さい会社にいた人はもちろんいたけど、それが一気にこんなでかい会社になる状態を知ってる人なんていなかったんで、カオスですよね。17年もカオスだったと思います。
takejune
スケールしていく中での組織の作り方とか、わかってる人がいない中で探り探りやってきたっていうような。
のぶお
うん16年とかはUSにチャレンジを日本からしてたけど、なかなかやっぱりうまくマーケットフィットできなかったし、何を試してもそんなにパコーンって上がったりするとかっていうわけでもなかったので。安定して上がっていくみたいなことはなかったので、すごく苦しんでた時代だったかなって思いますね。
takejune
そうだったんですね
のぶお
大変でしたねやっぱり。
takejune
外からの見え方と、中から見た時のギャップみたいなのも結構あったんですかね?
のぶお
そうだと思いますよ、なんか僕はやっぱUSとUKやってて逆に日本のプロダクトにそんなに関わってないんで。みんな(外から)見てるのは日本なんですよね。
takejune
うん。
のぶお
日本のプロダクト自体は確かに伸びてたと思いますし、別に調子良かったと思うんですけど...USは反面やっぱりマーケットフィットするのにむちゃくちゃ苦戦してたので、僕はすごいしんどいなって思ってたけど、周りは「いいじゃんメルカリ」みたいになってて「...そう?」思って思ってました。
takejune
なるほど
のぶお
うん。大変さでいうと、そういう感じでしたね。
メルペイをデザインする難しさ・面白さ
takejune
それからメルペイが準備し始めるタイミングで、社内異動という形で移っていったって感じだったんですか?
のぶお
そうっすね。2017年の暮れに(現メルペイ代表取締役CEOの)青柳さんが入られて。社内公募とかもあったりして、平等に応募できる状態だったんで手をあげて、行きたいですっていう話を投げて入れてもらったって感じでしたね。
takejune
はいはいはい。メルカリでやってるCtoCのサービスと、メルペイでやってるフィンテック。お金を扱うプロダクトっていうところで、やり方だったりとか考えないといけないこと、進めかたの違いみたいなのって結構ありました?
のぶお
それはかなり違ったかなと思ってて、やっぱりメルカリって、今でこそいろんな機能はあるけれども、基本的な機能として「売る」と「買う」っていうシンプルなそこのアクションで。ユーザーのループ自体は出品して、売れて、取引して、完了する。みたいなそういうのが「売る」と「買う」それぞれにループがあるんですけど、そこまで分岐しない。一つのゴールに向かって、売り手と買い手が向かっていくっていうのは、基本的にシンプルなんですけど配送のところが1回デジタルから離れるんで、そこで結構いろいろケアが必要だよねっていうドメインだと思うんですよ。
takejune
うん。
のぶお
だけど一応何を取引してるかっていうリアルな物自体は見えてるので、やりとりしていることはすごくわかりやすいんですけど、フィンテックというかあまり僕はメルペイのこと「フィンテック」だと思って仕事してなかったんですけど。メルペイは「メルペイ」なんですよ僕の中では、それは後の方でまた話せればいいなと思うんですけど。
のぶお
扱ってるものがお金なので、割と水みたいなものなので、「流す」っていういうのが仕事のプロダクトだから、何を扱ってるかっていうのをメルカリの商品写真を使いたいみたいなことは、できなくて、基本はお客様のお金を僕らが仲介して流しているだけだったりするので。なんかすごく実態がないものを作っているって感じ。
takejune
「水みたいなもの」ていうのは、形がなくって流れていくもので、流れることに価値があって...とか。
のぶお
お金って持ってたら使えて当たり前じゃないですか。現金とか「払える」「おつりをもらえる」みたいな当たり前のことになっちゃうんですけど、その当たり前なことをデジタル上でできるようにするっていうことがどれぐらい大変なのかってのは多分みんなはやっぱわからなくて、思ってた以上にやっぱり時間かかったなっていうのはありますね。
takejune
なるほどなるほど。
のぶお
その意味でデザインとの相性がめちゃくちゃ良いドメインだなっていうのは逆に思ってて。
takejune
あー、わかりますね。
のぶお
わかります?何が相性がいいのかっていうと、やっぱり難しいし、そうやって水みたいなものを扱ってるので、画面なりそうビジュアルで可視化することで、「作ってる人が何を作ってるのか?」理解しやすいですよね。
のぶお
あとはtakejuneさんが作られた、B/43のKYCのあのアニメーションとかもそうですけど、なんか今までやったことない、自分の証明書をスマホで撮って何かするみたいなそういうアクションってやったことないから、人間やったことないことを、文字では理解できないじゃないですか。
takejune
そうですねー、読まないですしね。
のぶお
ですです。だから、それはやっぱりビジュアルで見た方が「あーそうやってするのね」って真似しやすいし、理解がすごい一発でできる。っていう意味で、すごくビジュアライズされることと相性がいい業態だなって思いますね。
takejune
やっぱり文字で説明しようとすると情報量がものすごく多くなっちゃったりするんで
のぶお
そうっすね。文字で書くとその文字書いた文字に対する補足とかも必要なくて、なんか切りがないっていうのあります。
takejune
結構ディフェンシブに作ったりとか、法務の方からフィードバックを受けてそれをそのままデザインに落としていくと、もう膨大な文字量になってしまったりとかするんで、ちょっとそれはデザイナーとして何とかできないかな?みたいなところは常に考えながら仕事する感じにはなりますよね。
のぶお
そうですね。どれだけ削れるかっていうところが勝負だなと思います。
takejune
でも本当に大事なこと、有益なことに関して説明してあげた方がいいしっていうこともあって、なかなかそこの戦いみたいなところがね、面白さであり難しさみたいなところはありますよね。
のぶお
やっぱりその消費者を守るっていうのがその法律の目的なので、別に書きたくて書いてるわけじゃないのはもうみんなわかってるんですけど、不安や誤解があってそれを読まないことでリスクがあるっていう話で書くんですけど、文字が多いことで読まないっていうのもまたリスクだったりするので、そこら辺はやっぱりお客様に共感してるデザイナーと、リーガルな人がきちんと意見をぶつけ合って、適切なところに落とす必要があるから、デザイナーがリーガルの人のことを100%鵜呑みにして入れちゃいけない部分だなっていうのはすごく思います。
takejune
そうですよね。でも法務部門の人だったりとか場合によっては社外のアドバイザーの人とディスカッションしてコミュニケーションして最適解を見つけていくみたいなのは結構面白いですよね。
のぶお
うん。すごい面白いですあれは。
takejune
なんか、話してると持ってきたのと違うところに着地する瞬間とかないですか?
のぶお
ありますあります。何かこういうやり方だったらいけるかもしれませんみたいなことを言ってもらえたりして、「それだったら、むしろより良いかも...」みたいな話になったりして、やっぱり法律もいっぱい生き物だなっていうふうに思うんで、うん。なんかこうじゃなきゃいけないとかっていう杓子定規なモノのイメージだったんですけど、そういうわけじゃないんだなってのはやっぱりメルペイやって結構大きく印象が変わりました。
takejune
文面そのまま受け取るというよりかは「この法律の意図ってどういうことで、結局お客さんを守りたいんだよね?」とか思ったときにどういう説明の仕方があるか...みたいなことを考えると、良い着地点があったりとかして、それが見えてきた瞬間「おぉ...」っていう
のぶお
解像度が上がる瞬間がね、ありますよね。
takejune
ありますよね。わかる。
新サービス、メルカリShopsについて
takejune
メルペイも長いことやって、上手いことポジションを見付けて使う人がもう定着して。今新しい(サービスが)最近発表されましたね。メルカリShops。
のぶお
はい。
takejune
今やられてると思うんですけど、また違います?CtoC→メルペイとやられてきての「メルカリShops」はどうですか?
のぶお
違いますね、やっぱり。登らなきゃいけない山自体が違うんですけど、でもメルペイほど違うかって言われるとそうではなくてどちらかというとメルカリに近いものではあるんですけど、いわゆるその本丸のECっていうとこですよね「メルカリShops」は。
のぶお
サービスインする前にもう1人のデザイナーが割とUXリサーチしてもらって、その結果とかをチームでいろいろシェアしてもらったりしたんですけど。なんかやっぱりお店のサイズによって、求めている機能だったりやりたいことみたいなのがもう無限にあるなっていうのが率直な印象で。
のぶお
今のメルカリShopsも機能が足りてるわけでは全然ないですけど。でもやっぱりこういうコロナの状況下だったりするので、オフラインで売れないお店もたくさんあるから、何か早くリリースすることで何か少しでも役に立てるんだったらなっていうのがあって、かなりタイトに。もう年始にチームを作って、7月末に出してるんで結構なスピードでつくりました。
takejune
早いですね〜。本当にできたばかりのスタートアップが半年ぐらいで作るのと、上場企業で半年で作って出すのとでは、確認だったりとか違った工程も入ってくるんで、より何かタイトさが増してる感じなんじゃないですか。
のぶお
そうっすね、でもかなり身動きしやすい状態でチーム作ったり。開発環境とか疎結合で作ってるんですけど、メルカリの資産というか使っていただいてるお客様の数だったりっていうのは、フル活用しないと事業が立ち上がらないのはもちろんわかってるし、それがあるからやってるところもあるんで、結合するところと疎結合であまり結合させないところの判断をしながら。何がコア機能なんだっけっていうので、ここまで来たっていう感じです。
takejune
なるほど、フォーカスするターゲットによって求めるものが違うとか、メルカリとの連携させるところさせところみたいな話があったかなと思うんですけど。今MVPに近いようなプロダクトの状態かなと思うんですけど、その中でもコアな価値として提供していきたいこととか、工夫して作ってるみたいなとこってどういうところがあるんですか?
のぶお
まだここを工夫して作ってるみたいな、メルペイみたいに「払えて当たり前」「買えて当たり前」みたいな世界観。みたいに息を吸って吐くようなサービスデザインできてるかっていうと、そこまでではないかなって思ってて。どちらかというと「早く届ける」っていうのを意識してるんで。
takejune
はい。
のぶお
どちらかというと何だろうな。開発スピードをどれぐらい上げられるデザインになってるかっていうのは一番意識したかなと思ってて。UIをゼロから作ってるわけじゃなくて、チャクラのUIライブラリとかをオーバーラップして作ってるんですけど。チャクラで融通が利く部分と効かない部分とあったりとかしするので、その辺は他のライブラリーで補ってもらったりとかっていうのを、フロントエンドの人にいろいろ調べてもらってやっていて。
のぶお
UIはUIでメルカリの本体のUIとできる限り変わらないような形にしつつ、メルカリショップはWebViewで作ってるんですけど、アプリの中でも行けるし、アプリの外にWebブラウザとして表示しても、将来的にメンテナンスコストかからないみたいな状態になるように一応作ってるんで、それを同時にイメージしながらUI作ってたんで。結構頭使って、無駄がないようにやるのは大変っていうか、時間がない中でそこまで深く考えながらやるのは結構大変だったなっていう気はします。
takejune
なるほどなるほど、また違う頭の使い方をしたというか
のぶお
やっぱり人数少ないので。人数の少なさは良くも悪くもあるんですけど、やっぱりいくつもプロダクトを作って、そうそれぞれのプロダクトがバラバラになると全部直さなきゃいけなくなっちゃうんで。それはこのフェーズの人数だったり規模感だったりすると逆に足かせになっちゃうから、何かもうできるだけ1メンテナンスで全部直せるみたいな状態にしておかないと駄目だなっていうのは自分の中にあって、それに近づける感じで、どちらかというとコンポーネントをデザインしてたって感じです。
takejune
はいはい。でもそれをやることによってリリースのスピードが上がったりとか、今後の開発の価値のデリバーする速度に影響が出てくるしね。
これまでを振り返って
takejune
振り返ってみると、かなり濃い6年間だったのかなって思うんですけど、入社する前と輸出し、今現在のギャップというか、身に付いてきたものって結構大きいと思うんですけどどういうところの変化が一番大きいかなって感じます。
のぶお
単純に入社する前はUIが好きで、アプリとかUIにすごい詳しいっていうぐらいの状態だったかなと思ってて。いわゆると言ったら失礼なのかもしれないけど「綺麗に作りたい」みたいな、そういうデザイナーだったかなと思うんですけど。入ってやっぱそこが一番の壁でしたね。
のぶお
とにかくやっぱ速い、とにかく速いスピードで作っていくので。メルカリはそういう会社なので、綺麗に作ってる暇ないんですけど、みんな綺麗に作りたいんですよ。コードも綺麗に書きたいって本来は思ってるエンジニアさんたくさんいると思うけど、それもわかりつつ速さ、サービスを伸ばすってことを重視して書いてらっしゃると思います。
のぶお
もちろん負債もたくさんあると思うんですけど、そういう姿勢じゃなかったらここまで早く登れなかったなっていうのは思っていて。とは言え、いろいろもっと効率よくデザイン作れたなとか思ってるんですけど、僕がメルカリの最初の2年でできなかったのは本当にそこで。「どういうふうにすると開発効率が上がるデザインになるか」とか、こういうふうにした方が共通化できていいとか、そういうところはわかっていつつも伝えられなかったってのが失敗っていうか、伝える力がなかった。単純に。
takejune
ハイハイ
のぶお
2015年に戻れるなら、それをきちんと伝えてもっと効率よくクオリティ上がっていく仕組みを導入したかったっていう思いはあります。
takejune
ありがとうございます。ここまでのぶおさんの経歴とこ経験してきたことをお聞きしてきたんですけど、今この2021年のその学びきった状態の中で、今何を考えてるかっていうことについて、後編お聞きしていければと思いますのでよろしくお願いします。前半ありがとうございました。
のぶお
ありがとうございました。